大会長挨拶

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大会長 樋口 京一

信州大学医学部医学科加齢生物学教室
信州大学バイオメディカル研究所神経難病学部門

この度、2018年8月25日(土)に信州大学医学部附属病院におきまして第6回日本アミロイドーシス研究会学術集会を開催させて頂くことになりました。日本アミロイドーシス研究会はアミロイドーシスの成因と病態、診断法、治療法に関する理解を広め、同時にわが国のアミロイドーシス研究を一層活性化する目的で、2012年に設立されました。臨床と基礎の研究者による情報交換を促進し、またより広範囲な分野の研究者や、医療および社会への応用を目指す人材への情報提供を目指して、年一回の学術集会が開催されてまいりました。昨年度は第5回学術集会が島崎千尋先生の御尽力で、初めて東京から離れて、京都で開催されました。今回は、第6回学術集会を爽やかな信州松本市で開催させていただくことを大変光栄に存じます。

1980年にGlennerが「アミロイドーシスとはアミロイド線維と呼ばれる異常構造タンパク質が全身の種々な処へ沈着して、組織または臓器の機能障害が生じる疾患である」との疾患概念を提唱して以来、「アミロイドーシス」をめぐる状況は臨床家から基礎研究者までを巻き込み、大いに発展した結果、新たな治療法が開発され、長らく治療困難と見なされていたアミロイドーシスは、今や不治の病と諦める疾患ではなくなりつつあります。一方で解決すべき課題もますます増加しているのが現状です。アミロイドーシスという疾患概念が拡大していく中で、数多くの重要なアミロイドーシス関連疾患が提唱され、また生命現象におけるアミロイド線維様タンパク質凝集の重要性も増加しています。そこで「アミロイドーシスとはなんだろう? 分子構造〜病態の理解から画期的診断〜治療法を探る」というテーマで、アミロイドーシスの基礎・臨床研究や診療・治療の最近の進歩を幅広く学び、その克服をめざして討論を行いたいと思います。

今回は本学術集会としては初めて基礎研究者である私が担当させて頂くことになりました。臨床の立場から信州大学の第三内科の先生方にご援助いただき、プログラム委員会によって企画された3つのシンポジウムの一つにはアミロイドーシスの伝播現象を取り上げ、また画期的な治療法や診断法について国内外の研究者とともに、最新の知見についてご議論頂きます。

その他の領域におきましても、これまで以上に幅広い分野の先生方に参加して頂き実りのある学術集会にしたいと考えております。また学術集会の前日(24日)には、信州大学バイオメディカル研究所との共催で外国からの研究者と信州大学の研究者によるミニ国際シンポジウムを開催いたします。

アミロイドーシスの専門家はもとより、アミロイドーシスに興味をお持ちの方々にとっても、アミロイドーシス学の基礎から臨床までの最新情報をまとめて勉強でき、また色々な分野の参加者と情報交換ができるまたとない機会を提供できるように努める所存です。まだ残暑が厳しい時期とは存じますが、是非とも、多数の皆様に、清涼な信州松本にご参集いただき、活発な交流をしていただけることを、心よりお待ちしております。